BLOG医院ブログ

2021.08.25

下眼瞼脂肪ヘルニアについて

今日もよろしくお願いします!   何度も言いますが僕は本当に本当にラーメンが好きです。 冷蔵庫には常に冷凍ラーメンが入っております。 ただこれ以上太ってしまうと鹿嶋先生から訓告処分を受けるため月1回程度の摂取でなんとか生きております。   今回は東京駅を通るたびにいつも食べようか食べまいか悩んでいた「六厘舎」に行って参りました。 何回も食べている安牌のようなラーメンですがまた誘惑に負けて食べてしまいました。     六厘舎www.rokurinsha.com    ご存知の方も多いと思いますが、以前ご紹介させていただいた松戸富田製麺と並んでつけ麺界を代表する名店です。 そんな店が八重洲地下にあるというのはダイエット中の僕には辛すぎる話です。   六厘舎のつけ麺はドロっとした濃厚スープスタイルの元祖と言われるお店です。 うどんのようなぶるんぶるんのコシのある麺に濃厚なスープが絡みます。 卓上のトッピングもイカしてます。 魚粉を足すとさらに濃厚になります。 ゆず粉を足すと上品な香りが広がります。 ライム酢を足すとさっぱりとしたスープに生まれ変わります。   食べ終わるまで会話ができないくらい夢中に食べてしまいます。一度お試しあれ。       さて本日は下眼瞼脂肪ヘルニアについてです。いわゆるクマです。 それに対して当院で行なっている術式は眼窩脂肪ヘルニア切除、裏ハムラ法です。   下眼瞼脂肪ヘルニアを語るにあたって大事な靭帯があります。 上記におけるorbicularis retaining ligamentです。   orbicularis retaining ligamentより上方の皮膚、眼窩隔膜がゆるむことで、眼窩脂肪が前方に脱出し下眼瞼脂肪ヘルニアが形成されます。   以下オキュロフェイシャルクリニック東京のHPより抜粋です。     眼窩脂肪の前方への脱出を解除するために下眼瞼結膜から眼窩内に入り、orbicularis retaining ligamentを外して眼窩脂肪を上顎骨・頬骨の前面に移動させて段差をなくす手術がいわゆる「裏ハムラ法」です。 同じ下眼瞼結膜からのアプローチで眼窩脂肪を切除する方法もあります。 脂肪切除のみだと下眼瞼皮膚弛緩がある場合、皮膚のシワが残って貧相な下眼瞼になってしまいます。 (皮膚弛緩のない若年者には切除が有効です。)   裏ハムラであれば脂肪切除を行わないため自然でflatな下眼瞼にできます。   今回は病態説明だけで実際の手術のコツについてはまたの機会に紹介させていただきます。 今日もありがとうございました!!     追記 最近まで知りませんでしたが、ptosisとpterygiumはpを発音しません。お恥ずかしい。知らない方は覚えておいてください。 関連記事

2021.08.20

挙筋短縮の適応・注意について

今日もよろしくお願いします!   最近は夏野菜が安くていいですね。 千葉県は新鮮で美味しい野菜が安く手に入るので料理が捗ります。 最近なかなか外食・旅行ができないので家で自炊と晩酌をしながらYoutubeとにらめっこしております。   みなさまは岡田斗司夫さんという方をご存知でしょうか? かの「エヴァンゲリオン」を作ったアニメ制作会社「ガイナックス」の初代代表取締役です。 有名な書籍には「いつまでもデブと思うなよ」があります。   その岡田斗司夫さんがYoutubeにて色々なアニメの考察を行っているのですが、これがまた面白いです。 個人的にジブリの考察がかなり興味深いです。 「もののけ姫のタタラ場には何故子供がいないのか?」 「千と千尋の神隠しの世界はどういう世界なのか?」   などオタクを極めるとここまでくるのか……   とため息が溢れるような動画です。一度ご覧になって見てください。         さて本日は挙筋短縮の適応について述べたいと思います。 僕が眼科医になりたての時は 「眼瞼下垂手術って瞳孔領を覆うようになったらオペ適応でしょ?」 「視機能を維持できているのでオペ適応ないでしょ?」 と思っておりました。お恥ずかしい限りです。   実際思っているより多くの患者様がまぶたの重み、前額部のコリ、頭痛を感じています。 加齢性の変化により皮膚が弛緩し、挙筋腱膜もしくはMuller筋が弛み上眼瞼が垂れ下がってくると対抗しようとして眉毛が挙上し、おでこにシワが寄るようになります。HCLを使用している方にとても多いです。   目の開き具合を評価する方法として挙筋機能検査やMRDがよく知られています。 大体挙筋機能が10mm以上あれば挙筋短縮をしてみてもいいと思いますが、挙筋機能が10未満であった場合は先天下垂を合併している可能性が高いため吊り上げ術を検討してみてもいいかもしれません。 しかし、挙筋機能が10以下でも挙筋短縮で上がる症例が少なからずありますので、迷ったら挙筋短縮を選択しましょう。   MRDに関してははあまり知られておりませんが、MRD-1〜3まであります。   当院では挙筋短縮の適応を判断する時にMRD-3を主に採用しております。 MRD-3の低下があり、かつ挙筋機能が保たれていれば挙筋短縮を選択してみていいのではないかと思います。   ただ一部注意が必要な症例があります。 若年のMRD-3の左右差がある場合、先天下垂の要素が絡んでいる可能性があるためaponeurosisの前転のみでは十分な開瞼が得られないことがあります。その場合、Muller tuckingの併用やlevator resectionが必要になります(若年者のlevator resectionはあまりやりたくないですが…)。先天下垂の場合前転しすぎると兎眼になることもありこの兼ね合いが極めて難しいです。 20代の先天下垂のある症例を先日執刀させていただいたのですが、先天下垂の目はなかなか上がらず、頑張って左右差をなくそうとすればするほど兎眼が出てくるため涙が出てきました…。   また比較的若年の症例で「片眼の下垂が出てきた。」も要注意です。慣れてくればピーンとこなくてはいけません。 甲状腺眼症を疑う所見です。眼症の症状の一つに眼瞼後退があります。片側に起きると健側が一見下垂しているように見えます。 その場合むやみに挙筋短縮を選択すると泥沼にハマるため、MRI、トリアムシノロン注射を検討してみてください。 (ちなみに甲状腺眼症では7人に1人程度の割合で眼球突出に左右差が出ると言われております。)       今日は以上にさせていただきます。亀田総合病院で眼瞼手術を開始し、一人でぶち当たる問題も多いですがスタッフの方々と患者様には本当に恵まれております。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。 関連記事

2021.08.10

solitary fibrous tumor(SFT)について

今日もよろしくお願いします!   さて今日も千葉県トークです。 千葉県といえばなんでしょうか? 落花生?キャベツ?鴨川シーワールド? 違います。南房総市のトマトです。   聞いたことある人はほとんどいないと思いますが、語ります。聞いてください。 南房総市はここです。↓   自分も詳しい訳ではないのですが、ここのトマトは非常に甘いです!! 果物のようにパクパク食べられます。自分は非常にトマトが好きなので気づいたら30個ほどミニトマトを飲み込んでいました。 あまりにも旨味が濃いのでカプレーゼやトマトソースにすると最高です。付近の道の駅や直売所で売っているので、シーワールドついでにいらっしゃっていただけたら幸いです。       さて今日はsolitary fibrous tumor(以下SFT)についてです。 7/5に投稿した眼窩内腫瘍について切除検体の病理結果がSFTでした。 眼科になって初めて出会った疾患です。初学ですがまとめたいと思います。   SFTはhemangiopericytomaを含む線維芽細胞間葉系腫瘍です。 1931年に胸膜において最初に報告されました。 1)Klemperer P, Rabin CB. Primary neoplasms of the pleura: a report of five cases. Arch Pathol 1931; 11:385 そのため元々は胸腔内腫瘍と考えられていましたが、50-70%は胸腔外に発生します。 基本的には緩徐な進行を示し、再発・転移リスクは低いとされていますが、一部の腫瘍は悪性の経過を辿ります。 発症年齢は20〜70歳程度、平均で40歳代と比較的若年発症です。 性差はありません。リスクファクターで有意なものはありません。   術前画像診断では境界明瞭なmassとして描出されます。 MRIではT1 lowですが、T2ではlow〜highまであります。高度にコラーゲン化された細胞密度の乏しい腫瘍ではT2 low、高い細胞密度、高い血管成分、壊死や粘液性変化があるとT2 highとして描出されます。 ガドリニウム造影MRIも診断に有効です。腫瘤内へ発達した流入血管が認められ、術中の多量出血が予想される症例では術前動脈塞栓術が行われる場合もあります。   治療は外科的な完全切除です。取り残すと再発します。 外科的に完全切除ができ、かつ高リスクではない場合は術後化学療法、放射線療法は不要であると考えられています。 もし断端陽性だった場合、残存病変の切除が可能であれば再手術、不可能であれば術後放射線療法を行う可能性があります。 局所的に進行した切除不能または転移性SFTに対しては化学療法が用いられることもあります。 SFTの遠隔転移の一般的な部位は、肺、肝臓、骨、および脳です。   病理診断が難しいとされていましたが、2013年に疾患概念が変わり一番特異度の高い検査はSTAT6の発現といわれています。 軟部腫瘍専門医師が少なく、診断に苦慮することが多いそうです。💦   SFTの予後予測の決まったconsensusはありませんが、下記の論文にCase series+Literature reviewがまとめてありましたのでご覧ください。 3)Lester D.R. Thompson, et al. Orbit Solitary Fibrous Tumor: A Proposed Risk Prediction Model Based on a Case Series and Comprehensive Literature Review. Head Neck Pathol. 2021 Mar; 15(1): 138–152. 自分は論文をまだまだ読み慣れていないので少し読むのに時間がかかりましたが、リスク分類についてよくまとめられていると思いますのでさらっとご覧いただけたらを思います。 表にまとめたものです。   眼窩内のSFT切除後にmarginが陽性で、眼窩内容除去術を行っても長期経過で再発した症例もあり長期でのfollow upが必要である可能性が高いと思われます。 4) Carrera M, Prat J, Quintana M. Malignant solitary fibrous tumour of the orbit: Report of a case with 8 years follow-up. Eye (Lond) 2001;15(Pt 1):102–4.     orbit疾患は専門性が高くて勉強していてとても楽しいです!キュンキュンします。 未熟ですのでまだまだ頑張ります!今日もありがとうございました。 関連記事

2021.08.03

upper eyelid blepharoplastyについて

今日もよろしくお願いします!2週間投稿が空いてしまいました。以後気をつけます。   皆様は「勝浦タンタンメン」なるものを聞いたことがあるでしょうか? 千葉県勝浦市にあるご当地ラーメンです。竹岡式ラーメン、アリランラーメンと並び千葉三大ラーメンの一角を担う存在です。 そもそも勝浦という地名を聞いたことがない方も多数いらっしゃると思います。   ここです。   この関東の果てに勝浦タンタンメンはあります。 坦々麺というとゴマの香るラーメンを想像しますが、これは違います。 ラー油がたっぷり入ったラーメンにひき肉と玉ねぎが入り、辛い中にコクの深い甘みを感じられる一品です。 見た目はいかにもB級グルメって感じですが、辛いものが苦手な方でもスルスル食べられます。 聞くところによると寒い海仕事を行った海女・漁師などの漁業関係者が冷えた体を温めるために定着したメニューだったようです。   下記のお店が勝浦タンタンメン発祥の店とされています。 ものすごい人気店で30分以上の待ち時間は覚悟しなければなりませんが、B級グルメ好きなら訪問する価値は十分にあると思います。ぜひご賞味あれ。       さて本日はblepharoplastyについてです。 以前上眼瞼の睫毛内反症について軽く記事を書かさせていただきました。 今回追加でわかったことについて紹介させていただきます。   まずは皮膚デザインですが、デザインの下縁は睫毛上5mmで設定しています。 この5mmという数字は何か他の理由がない限りほぼ固定でいいとは思います。 デザインの上縁が未だに悩みどころです。 上眼瞼の皮膚弛緩によるシワがあれば一番頭側のシワをデザインの上縁として決めます。 ある程度高齢の場合はシワがあるのでデザインしやすいですが、若年者はシワがないので上眼瞼のでデザインが決めづらいです。 1つの指標としては瞼縁-眉毛下間距離を少なくとも20mm以上にしておけば皮膚切除過多になりづらいです。 デザインの上縁は一定の答えはありませんが、開瞼時に理想的な重瞼ラインになるようにデザインしましょう。   皮膚切除が過多になると重瞼ができず切開創がモロに露出するため皮膚移植など恐ろしいことが必要になります。 皮膚切除が不足するのは追加切除をすればいいだけなので罪は軽いです。 ご注意を。   眼輪筋を切開し、深層に入っていくとうっすらwhite line、眼窩脂肪、aponerosisが見えてきます。 最初は 「どうやって解剖を同定するんだ?」 「全部白っぽい組織でどれがどのlayerかわからないじゃないか!」 と僕も思いました。 →Ans. 適切な師の元で何回も切るしかありません。   身も蓋もない返答ですがそれしかないかと思います。 何回も切っている内に教科書に出てくる解剖・機能がリアルな3Dで想像できるようになります。   昔blepharoplastyを執刀させて頂いた時に術後重瞼ができていなかった症例が何件か続きました。 原因は自分がaponeurosisだと思っていた組織がaponeurosisまで到達していない浅いlayerの結合組織だったことです。 以前もお伝えしましたが、septumを開けてaponeurosis後層を同定することが確実な解剖の認識に繋がると思います。   そこさえ同定ができれば、white line近くに固定すると大体いい上眼瞼に仕上がります。 頑固な一重瞼の方は横に狭く、奥に深くかけるとより重瞼ができやすいかもしれません。     亀田総合病院でも少しずつ眼形成手術を始めております! 一人でやるとぶち当たる問題も多いですが全ていい経験です!今後ともよろしくお願いします。 今日もありがとうございました! 関連記事

2021.07.16

挙筋短縮時のTIPS

今日も張り切ってよろしくお願いします!   僕はナスが好きです。この時期だいぶナスが安くなってきました。 先日ご紹介した君津ふるさと物産館では地産地消の安くて新鮮な野菜が手に入ります。 あまり他県と比較したことがないですが千葉県って結構野菜が安く買えます。 うっすら覚えている値段だとナス 4,5本で120円、キャベツ1玉 100円、サニーレタス 80円、ピーマン 5個 80円、ズッキーニ 1本 80円、ニラ 1束 80円、ネギ1束 100円みたいな感じです。   今回ナスを大量に買ってしまったため下記の動画で紹介されているレシピを作って見ました。 これは本当に絶品です。いくらでも飲めます。   最近はイタリアンや中華、和食などの有名シェフの方々がyoutubeでお家で作れる美味しい料理を紹介しております。 便利な時代になりましたね。うだるような暑さですが、美味しいご飯を食べて夏バテにご注意を。         さて本日は病態・手術の本筋からはずれますが、挙筋短縮術のTIPSについてご紹介します。   皮膚切開、止血については僕のブログよりも鹿嶋先生の動画を見ていただいた方が何倍も勉強になりますのでご覧になってください。僕もまだまだ未熟なところばっかりです。       ①Mullerと分離したaponeurosisをtarsusに固定する時にどの位置にどのくらいの強さで締めればいいか? →tarsus上縁に固定する。tarsusは掬いすぎない。固定の縫合はゆるい固定で大丈夫。   図説します。 上図を見ると固定している位置が思ったより上縁だと思わないでしょうか?(僕はそう思いましたのでお付き合いください。) どうしても開瞼が得られない時、姑息的な方法としてtarsusの固定位置を下方にずらすというものがあります。 しかし固定位置を下方にずらすと上眼瞼の三角目や過度な場合上眼瞼外反の原因になります。 また、しっかり固定しようと思ってtarsusの深いところまで針で掬うとやはり不自然な形の上眼瞼になります。 tarsus表面をbareにして瞼板前組織を完全に剥離してから薄く掬って固定しましょう。   また縫合について上記下図のようなゆるい固定で十分です。 締めすぎるとこれまた不自然な上眼瞼につながります。 縫合時は結び目に他の組織が絡みつかないように周りの組織を寄せて縫合するようにしましょう。       ②術中出血があり創部が腫れ解剖がよくわからなくなってしまう。どうすればよいか? →まずは止血手技を確実に行いその後絞る。 上図のように止血後に血豆のように組織が腫れることが術中多々あります。このぐらいであれば手術の進行には差し支えませんが、あまりにも腫れると解剖が不明瞭になったり、術後の創部腫脹がひどくなったりします。 その場合下図のように組織を絞れば腫れが軽減しますので術中止血に手こずり血豆ができてしまった時には試してみてください。       本日は以上です。 細かい内容ですがやってみると実際に直面する問題ですのでお役に立てれば幸いです。 今日もありがとうございました。継続は力なり!頑張りましょう。 関連記事

2021.07.05

眼窩内腫瘍について

今日もよろしくお願いします!   みなさま「とこぶし」ってご存知でしょうか? 僕は青森生まれのりんごほっぺの超田舎者です。青森の魚介類も最高に美味しいですが、千葉も海産物が豊富でいろんな美味しいものが獲れます。それの一つがとこぶしです。   「とこぶし」とは、「あわび」と同じミミガイ科の一種であわびより一回り以上小さく、成長しきったものでも長さは7cm程度の大きさです。こんなやつです。↓   これがですね。絶品なんですよ。僕はあわびより美味しいと思います。 今あたりが丁度旬で鴨川のお寿司屋さんに出回ります。姿煮が本当に美味しいです。 肝に至っては酒がいくらあっても足りません。なかなか市場に出回らないようですが一度ご賞味を。         さて本日は眼窩内腫瘍です。 ついに僕も眼窩内腫瘍にまで手を出すようになりました。 腫瘍はあまりにも多様性があるため語り尽くせませんが今回執刀の機会を得たのでお話します。   眼科でたまに出会うにもかかわらずどうしていいかも、どこに送っていいかもわからないのが眼窩内腫瘍です。昔は外来で腫瘍の患者様がいらっしゃると「どうしようか……」と頭を悩ませていましたが、今はキュンキュンの対象です。   眼窩腫瘍の疫学は下記の通りです。   笠井 健一郎:眼窩腫瘍の鑑別診断のコツ.臨眼 72(2):170‒181, 2018   画像検査での鑑別の仕方は上記の笠井先生の論文がわかりやすいので一度ご覧になってみてください。     今回は外直筋膜内にある深在性眼窩腫瘍を切除を行いました。大きさがそれなりにありましたので、lateral canthotomy+結膜切開を行い腫瘍本体にアプローチしました。今回はlateral canthotomyのみで全摘できましたが、もしスペースが足りなければswinging eyelid approachを行なっていたかと思います。   swinging eyelid approachとはなんじゃい???という方は鹿嶋先生の動画を見てみてください。   手術動画「経結膜眼窩腫瘍摘出」 ※注意:手術動画になります。   眼窩手術は視野が非常に大事になってきますので止血をしっかりしておきましょう。 外眼筋膜下の腫瘍は筋線維を切らないように筋線維に剃って切ります。 ちなみに刺身は筋繊維に対して直角に切らないと筋が残ります。 すると腫瘍本体が出てくるので、皮膜を破らないように周囲組織と剥離していきます。このときに5-0シルクで腫瘍自体に糸をかけて牽引すると剥離しやすいです。この時注意なのが糸をしっかり深く2、3回くらいかけることです。浅くかけると腫瘍がすぐに崩れてしまいますのでご留意を。     腫瘍がとれたら縫合に入ります。 lateral tarsal stripと違ってlateral canthotomyだけだとtensionがほとんどないため、真皮縫合せず表面を合わせるだけで十分です。   今日は以上です!病理結果が楽しみです! ありがとうございました! 関連記事

2021.06.27

眼窩下壁骨折について part.2

今日もお願いします。   今日はご飯の話はなしです。楽しみにしていた方はすいません。   このブログに引き続いて、youtubeでの動画をアップさせていただきました。 自分で撮った訳ではなく、鹿嶋先生に全て段取りをつけていただいて撮影いたしました。 私自身の力ではありませんので悪しからず。   知り合いや家族からは「うさんくさい」「詐欺師みたい」「猫背直せ」「噛みすぎ」「ヒゲ脱毛しろ」などたくさんの好意的な応援メッセージをいただいております。ありがとうございます!まだご覧になっていない方は是非ご覧になってください。 まだ専門を決めていない先生方にとっては、「専門・進路を決めた医者の思考回路」という1例報告みたいな感じで聞いていただけたら幸いです!貼っておきます。   眼窩下壁骨折について さて今日も骨折についてです。2例目です。今回は下壁とstrutの再建を要する症例についてです。 ぬぅー難しいです。 基礎中の基礎ですが、まずは下方rimへの到達です。 下記に2つの文献の解剖図について記します。   Plastic Surgery: Volume 2: Aesthetic Surgery. Few, Julius; Ellis, Marco. Published January 1, 2018. Pages 296-325.e2. © 2018.   柿崎 裕彦:手術治療からみた眼瞼解剖. 臨眼 62(13):1939-1944,2008   まずは下眼瞼結膜からLERを切離して下方rimへアプローチしますが、結膜をなるべく結膜をキズづけないように注意します。 レクトミーでは「結膜は宝物」とよく言われます。このアプローチ後に癒着を起こし円蓋部の垂直方向の短縮を引き起こすことがあるので結膜をむやみに有鉤鑷子で把持したり、牽引糸で傷つけないように注意しましょう。   LERに牽引糸をかけたところでしっかり展開を行います。前回のブログで話した通り、orbitaにも入らないようにかつ眼輪筋も傷つけないように進まないと行けません。   上図でも分かる通り、その道のりは極めて難しいです。 眼窩脂肪がうっすら見えてきたり、逆に茶色っぽい眼輪筋が見えたりするとその度に軌道修正しながら下方rimに到達するという流れになります。脳ベラなどで常に下方rimに触れながらアプローチするとやりやすいかと思います。 下方rimに到達したら余分な組織を除去し骨膜切開を行いますが、左右にしっかり展開を行いましょう。経結膜アプローチには「術野が狭い」という最大のデメリットがあるので結膜と組織をしっかり左右に広く展開することが大事になります。内壁へのアプローチ時は涙丘部結膜切開も加えなければならないです。結膜切開を内側に展開する場合はそこを考慮して進めましょう。   reope時に骨膜下を進んでいくとき、前回のアプローチが不適切であることがあります。改めて骨膜に切開を入れてしっかりと骨膜下に入りましょう。当然左右に広く展開しましょう。   骨膜下を進み、骨折の後端が見えて初めて完全な整復ができます。骨折の全容が見えていないときはそれは嵌頓した眼窩組織がまだあるということに他ならないので骨折の後端をしっかり剖出します。   若年の眼窩底骨折は若木骨折のように「しなる」骨折のため、骨の位置の矯正し嵌頓を除去すれば治ります。 しかし、成人以降、特に高齢者では骨がバラバラに砕けるため再建材料が必要になります。   今回はスーパーフィクソーブにて再建を行いました。鹿嶋先生に「眼窩底の形に整形してみなさい」と言われ、背筋がナイアガラの滝になりました。なんとなくCTでみた眼窩底の形はあったのですが、頭の中の3Dが出来上がっておらずヘンテコリンな形になってしまいました。こればっかりは何回も切って覚えるしかないのですが、鹿嶋先生曰く「アフリカ大陸の形のように切りなさい」とのことでした。CT画像を土井先生にご指導頂きましたが、眼窩底の形って確かにアフリカ大陸に似ているなと思いました。 もしスーパーフィクソーブを整形する方がいらしたら参考にしてみてください。     骨折については以上です。       話はかわりますが、別にご指導いただいたことを紹介します。 当然っちゃ当然なんですが、いまだにできていなかったことが「皮膚を垂直に切ること」です。メスを皮膚に対して垂直に切らないと創傷治癒に悪影響です。そぎ切りはいけません。刺身包丁で刺身を切るように皮膚は切ってはいけません。 眼瞼は平らなところがないため、凹凸を意識しかつもう片手でしっかり皮膚にtensionをかけて切開を行いましょう。 今更ですが、本当に大事です。ご留意を。     またひとつ成長できました。周りの先生方、スタッフに感謝陳謝です。 今日もありがとうございました! 関連記事

2021.06.24

levator complex resectionについて

今日もよろしくお願いします。   何故かなかなか痩せない菊地です。何故なのでしょうか。皆目不明です。誰かわかったら教えて下さい。 さてみんな大好き美味しい美味しい餃子の話です。 ↑千葉県君津市小糸という地域の名産の餃子です。     小糸という地域は都内から僕の住んでいる鴨川市に車で向かう途中に通る地域です。自分はてっきり町の名前かと思っていたら違うようです。以下Wiki大先生の引用です。   小糸町(こいとまち)とは、千葉県君津郡にかつて存在した町である。現在の君津市の中部に位置している。 現在の房総スカイラインの沿線に当たり、東京湾アクアライン経由で東京都と鴨川市方面を結ぶルートとなっている地域である。君津市立小糸中学校などにその名をとどめている。   「かつて存在した」とか「その名をとどめている」とかなんとなくカッコいいですね。「幻の大地」みたいです。   そこに「なごみ味噌」という商品があります。 なごみ味噌は、君津市小糸川流域で守り育てられてきた幻の大豆「小糸在来(R)」を原料に、君津産コシヒカリで作った米麹を加え樽詰めで熟成させた味噌です。     今回紹介した餃子は餡になごみ味噌を使用し、メインの具としてサバやレンコンが入っています。個人的にはレンコン餃子の方が好きです!味噌味の餡にレンコンのシャキシャキ食感がたまらない商品となっております。僕は冷蔵庫に常に備蓄しております。   なごみの里君津農産物直売所(千葉県君津市大井126)というところで売っております。生憎オンラインでは売ってないようです…。遠いかと思いますが、もし車で鴨川シーワールドなどに行かれる用事があれば通り道ですので寄ってみて下さい。個人的には冷凍餃子トップ3には入ります。         さて本日はlevator complex resectionについてです。 先日執刀させていただきました!感謝感謝です。新しい経験がどんどんできて血沸き肉踊ります。   当院はaponeurosisを主体とした眼瞼下垂手術をしております。実際にやってみてほっとんどの人はそれで問題ないのですが、術前のlevator functionが正常範囲でも一部どうしても上がらない人がいます。 その場合Muller筋も併用したcomplexの前転が必要になります。 以前ブログで紹介したtuckingを併用する方法もありますが、今回はcomplex resectionについて述べます。   瞼板までアプローチは割愛しますが、瞼板からaponeurosisを切離し、Muller筋を露出できたらMuller筋と瞼板を切離します。 Mullerは支配神経が異なるため、結膜とMullerの間にしっかりと麻酔します。 Mullerと結膜は疎な結合組織で結合しているため、ジョキジョキ切らずに鈍的剥離でスルスル剥離できます。 (ちなみにresection施行歴のある症例ではapoと結膜が癒着しており、鈍的剥離だと結膜に穴が開きますのでご留意を…) Mullerの血管走行は横で、結膜は縦なのでメルクマールになります。 Mullerと結膜を剥離することが開瞼抵抗の減弱につながるのでしっかり剥離し、complexを一塊にして瞼板に固定します。 complexを寄せるのは抵抗が強いため、水平マットレス縫合で適宜5-0シルクを使った方が前転しやすいです。 (※この時にどうしても前転が足りなければ、complexの先端を少し切除すれば上がる時があるようです!)   そしてこれだけ前転すると結構閉瞼仕切らないことがあります。 臥位ということと眼輪筋が麻痺しているということから、眼瞼を押し下げて閉瞼できれば大丈夫です。   仕上がりが楽しみです!     本日は以上です!!最近眼形成の内容よりもご飯の内容が濃くなってきて複雑な気持ちです! 今日もありがとうございました!! 関連記事

2021.06.17

睫毛内反・眼瞼内反・睫毛乱生について

今日もよろしくお願いします。   僕は亀田総合病院のある千葉県鴨川市というところに住んでいます。 住んで4年目になりますがいいところです。 有名なのは鴨川シーワールドのシャチのショーでしょうか。   安房鴨川駅から徒歩10分程度の場所に僕が好きなお寿司屋さんである「笹元」さんがあります。 このお寿司屋さんが好きなんですよ。店長夫婦で板前さんをされております。   私レベルの人間が美味しいというものなんてたかが知れていると思いますが、美味しいんですよ。 地元で獲れた新鮮な魚介類をとにかく日本酒に合うような極上の肴にしてくれるんです。 そういう点では必ずしも寿司屋というよりは海鮮居酒屋に近いかもしれません。 今もブログ書きながら喉を鳴らしております。   千葉県の外房という地方は金目鯛がよく獲れます。5,6月が旬です。 なぜ旬なのかというと産卵に向け沢山の餌を食べることで身に脂が乗るからです。 定期的にヨダレを垂らして入店するのですが、先日伺った時に初めて出たのがその産卵期の金目鯛の卵です。 正に珍味というやつです。なかなか食べたことある人は少ないのではないでしょうか?   ただ写真を撮り忘れました…。ごめんなさい。 見た目はThe 魚卵!って感じです。 品を出す時に板前の旦那様が「ハッピバースデーつーふー!」と言って出してくれたのがいい思い出です。 もう日本酒と抜群の相性です。アロプリノールまっしぐらです。 田舎でしか食べられないものを食べられると多幸感に包まれますね。 みなさんも機会があれば是非ご賞味ください。       さて本日はさかさまつげ系の話です。手術手技というよりは病態についてです。 最近亀田総合病院でも細々と眼形成手術を始めたのですが、後輩の医師からちょこちょこ「先生。睫毛内反のおじいちゃんが来てますが診てくれませんか?」と聞かれます。その時点でピンと来ます。実際見てみると大体眼瞼内反か睫毛乱生です。 他にも「睫毛内反の手術ってJones変法ですよね?」って聞かれますが、Jones変法は眼瞼内反に対する術式です。先天性睫毛内反の若年者には選択しない術式です。   同じ逆さまつげでも病態でよって術式が全く異なります。 自分もよくわかっていなかったですが、改めてまとめたいと思います。   睫毛内反は睫毛を外反させる穿通枝の欠損によって生じます。また余剰な皮膚や眼輪筋が睫毛を眼球方向へ圧排することも病態に拍車をかけていることが多いです。治療法はHotz変法、Lid margin splitting、埋没法などがあります。当院ではHotz変法+Lid margin splittingの併用を行なっております。   下眼瞼内反は垂直方向の弛緩(LERの弛緩)、水平方向の弛緩(LCTとMCTの弛緩)、前葉組織の弛緩(皮膚、眼輪筋の弛緩)、眼球位置の変化が病態です。治療法は多岐にわたりますが、有名なのはJones変法で他にLER plicationや眼輪筋短縮術やLateral tarsal strip、埋没法などがあります。当院では病態によって分けていますが、LER plicationを主に行なっております。   睫毛乱生は眼瞼の炎症や外傷(トラコーマ、熱傷、 Stevens-Johnson症候群、PG点眼など)が原因となり睫毛根部に瘢痕を形成し、睫毛の生える方向が変化することが原因と言われています。その中でも睫毛列全体が眼球に向かって生えている場合は睫毛重生となります。治療法は毛根除去、anterior lamellar resection(≒Wojno法)、電気分解法などがあります。当院では毛根除去やWojno法を行なっております。       どんなに手術が上手でも病態を考えずに誤った手術選択をすると治りません。 正しい病態理解に努めます!一緒に学んでいけたら幸いです。   今日もありがとうございました!! 関連記事

2021.06.08

眉毛下皮膚切除について追加で学んだこと

さて眉毛下皮膚切除について追加で学んだことをご報告します。 眉毛皮膚切除は奥が深いです。顔の印象を大きく変えずに効果が得られるので選択しやすい術式です。 内容も皮膚切除してただ縫い寄せるだけというシンプルな術式ですが、それだけに術者の腕が如実に出ると思います。   そうです。   シンプルを極めればピュアになる。   またもや言いたかっただけですね。すいません。       基本的な創の切開の仕方や縫い方は以前Eyebrow liftingの時にまとめた通りですが、追加のポイントを3つ説明します。   1つ目のポイントは皮膚を切り取る時に皮下脂肪もしっかり切除しておくことです。 創部内に脂肪がたまっていると余計な組織があるためevertしづらくinvertになりやすくなります。 余分な脂肪はしっかり切除するように心がけましょう。   2つ目のポイントはROOF切除併用も選択肢に入れておくことです。 上眼瞼の外側がpuffyな方はRoof切除を併用すると欧米人のようなより美しい瞼になります。 切除の流れを分かる範囲で説明すると、 ①眼輪筋の線維に沿って横切開を入れて、Roofを露出させます。 ②眼輪筋に切り込みすぎないように(accessory foldの原因)Roofの前面を露出 ③その後眼窩隔膜に切り込まないようにこそぐように切除します。(ジョキジョキ切ると術後凹みが出てしまいます。) ④切除時はRoof部位の麻酔追加を忘れずに。 ⑤創縁のlayerを合わせるため、非吸収糸で眼輪筋を寄せておく。 その後は型通りです。   3つ目のポイントは連続縫合時は創縁をしっかりつまみevertさせて、皮膚に直角になるように通糸することです。 真皮縫合時点でしっかり寄せることが大前提ですが、連続縫合時もテキトーにやったら瘢痕が残ります。 一気に通糸するのではなく、創縁に通糸する度にしっかり有鉤鑷子でつまみ連続縫合しましょう。 とにかくevertです。     自分もまだまだまだまだです。でも今日が人生で一番若い日ですので諦めず進みます。 今日もありがとうございました!! 関連記事

診療時間
8:15〜17:15 - -

[休診日]月曜・日曜・祝日
※当院の診療は完全予約制になります。

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