2021.06.27
眼窩下壁骨折について part.2
今日もお願いします。
今日はご飯の話はなしです。楽しみにしていた方はすいません。
このブログに引き続いて、youtubeでの動画をアップさせていただきました。
自分で撮った訳ではなく、鹿嶋先生に全て段取りをつけていただいて撮影いたしました。
私自身の力ではありませんので悪しからず。
知り合いや家族からは「うさんくさい」「詐欺師みたい」「猫背直せ」「噛みすぎ」「ヒゲ脱毛しろ」などたくさんの好意的な応援メッセージをいただいております。ありがとうございます!まだご覧になっていない方は是非ご覧になってください。
まだ専門を決めていない先生方にとっては、「専門・進路を決めた医者の思考回路」という1例報告みたいな感じで聞いていただけたら幸いです!貼っておきます。
眼窩下壁骨折について
さて今日も骨折についてです。2例目です。今回は下壁とstrutの再建を要する症例についてです。
ぬぅー難しいです。
基礎中の基礎ですが、まずは下方rimへの到達です。
下記に2つの文献の解剖図について記します。
Plastic Surgery: Volume 2: Aesthetic Surgery.
Few, Julius; Ellis, Marco. Published January 1, 2018. Pages 296-325.e2. © 2018.
柿崎 裕彦:手術治療からみた眼瞼解剖. 臨眼 62(13):1939-1944,2008
まずは下眼瞼結膜からLERを切離して下方rimへアプローチしますが、結膜をなるべく結膜をキズづけないように注意します。
レクトミーでは「結膜は宝物」とよく言われます。このアプローチ後に癒着を起こし円蓋部の垂直方向の短縮を引き起こすことがあるので結膜をむやみに有鉤鑷子で把持したり、牽引糸で傷つけないように注意しましょう。
LERに牽引糸をかけたところでしっかり展開を行います。前回のブログで話した通り、orbitaにも入らないようにかつ眼輪筋も傷つけないように進まないと行けません。
上図でも分かる通り、その道のりは極めて難しいです。
眼窩脂肪がうっすら見えてきたり、逆に茶色っぽい眼輪筋が見えたりするとその度に軌道修正しながら下方rimに到達するという流れになります。脳ベラなどで常に下方rimに触れながらアプローチするとやりやすいかと思います。
下方rimに到達したら余分な組織を除去し骨膜切開を行いますが、左右にしっかり展開を行いましょう。経結膜アプローチには「術野が狭い」という最大のデメリットがあるので結膜と組織をしっかり左右に広く展開することが大事になります。内壁へのアプローチ時は涙丘部結膜切開も加えなければならないです。結膜切開を内側に展開する場合はそこを考慮して進めましょう。
reope時に骨膜下を進んでいくとき、前回のアプローチが不適切であることがあります。改めて骨膜に切開を入れてしっかりと骨膜下に入りましょう。当然左右に広く展開しましょう。
骨膜下を進み、骨折の後端が見えて初めて完全な整復ができます。骨折の全容が見えていないときはそれは嵌頓した眼窩組織がまだあるということに他ならないので骨折の後端をしっかり剖出します。
若年の眼窩底骨折は若木骨折のように「しなる」骨折のため、骨の位置の矯正し嵌頓を除去すれば治ります。
しかし、成人以降、特に高齢者では骨がバラバラに砕けるため再建材料が必要になります。
今回はスーパーフィクソーブにて再建を行いました。鹿嶋先生に「眼窩底の形に整形してみなさい」と言われ、背筋がナイアガラの滝になりました。なんとなくCTでみた眼窩底の形はあったのですが、頭の中の3Dが出来上がっておらずヘンテコリンな形になってしまいました。こればっかりは何回も切って覚えるしかないのですが、鹿嶋先生曰く「アフリカ大陸の形のように切りなさい」とのことでした。CT画像を土井先生にご指導頂きましたが、眼窩底の形って確かにアフリカ大陸に似ているなと思いました。
もしスーパーフィクソーブを整形する方がいらしたら参考にしてみてください。
骨折については以上です。
話はかわりますが、別にご指導いただいたことを紹介します。
当然っちゃ当然なんですが、いまだにできていなかったことが「皮膚を垂直に切ること」です。メスを皮膚に対して垂直に切らないと創傷治癒に悪影響です。そぎ切りはいけません。刺身包丁で刺身を切るように皮膚は切ってはいけません。
眼瞼は平らなところがないため、凹凸を意識しかつもう片手でしっかり皮膚にtensionをかけて切開を行いましょう。
今更ですが、本当に大事です。ご留意を。
またひとつ成長できました。周りの先生方、スタッフに感謝陳謝です。
今日もありがとうございました!
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2021.06.24
levator complex resectionについて
今日もよろしくお願いします。
何故かなかなか痩せない菊地です。何故なのでしょうか。皆目不明です。誰かわかったら教えて下さい。
さてみんな大好き美味しい美味しい餃子の話です。
↑千葉県君津市小糸という地域の名産の餃子です。
小糸という地域は都内から僕の住んでいる鴨川市に車で向かう途中に通る地域です。自分はてっきり町の名前かと思っていたら違うようです。以下Wiki大先生の引用です。
小糸町(こいとまち)とは、千葉県君津郡にかつて存在した町である。現在の君津市の中部に位置している。
現在の房総スカイラインの沿線に当たり、東京湾アクアライン経由で東京都と鴨川市方面を結ぶルートとなっている地域である。君津市立小糸中学校などにその名をとどめている。
「かつて存在した」とか「その名をとどめている」とかなんとなくカッコいいですね。「幻の大地」みたいです。
そこに「なごみ味噌」という商品があります。
なごみ味噌は、君津市小糸川流域で守り育てられてきた幻の大豆「小糸在来(R)」を原料に、君津産コシヒカリで作った米麹を加え樽詰めで熟成させた味噌です。
今回紹介した餃子は餡になごみ味噌を使用し、メインの具としてサバやレンコンが入っています。個人的にはレンコン餃子の方が好きです!味噌味の餡にレンコンのシャキシャキ食感がたまらない商品となっております。僕は冷蔵庫に常に備蓄しております。
なごみの里君津農産物直売所(千葉県君津市大井126)というところで売っております。生憎オンラインでは売ってないようです…。遠いかと思いますが、もし車で鴨川シーワールドなどに行かれる用事があれば通り道ですので寄ってみて下さい。個人的には冷凍餃子トップ3には入ります。
さて本日はlevator complex resectionについてです。
先日執刀させていただきました!感謝感謝です。新しい経験がどんどんできて血沸き肉踊ります。
当院はaponeurosisを主体とした眼瞼下垂手術をしております。実際にやってみてほっとんどの人はそれで問題ないのですが、術前のlevator functionが正常範囲でも一部どうしても上がらない人がいます。
その場合Muller筋も併用したcomplexの前転が必要になります。
以前ブログで紹介したtuckingを併用する方法もありますが、今回はcomplex resectionについて述べます。
瞼板までアプローチは割愛しますが、瞼板からaponeurosisを切離し、Muller筋を露出できたらMuller筋と瞼板を切離します。
Mullerは支配神経が異なるため、結膜とMullerの間にしっかりと麻酔します。
Mullerと結膜は疎な結合組織で結合しているため、ジョキジョキ切らずに鈍的剥離でスルスル剥離できます。
(ちなみにresection施行歴のある症例ではapoと結膜が癒着しており、鈍的剥離だと結膜に穴が開きますのでご留意を…)
Mullerの血管走行は横で、結膜は縦なのでメルクマールになります。
Mullerと結膜を剥離することが開瞼抵抗の減弱につながるのでしっかり剥離し、complexを一塊にして瞼板に固定します。
complexを寄せるのは抵抗が強いため、水平マットレス縫合で適宜5-0シルクを使った方が前転しやすいです。
(※この時にどうしても前転が足りなければ、complexの先端を少し切除すれば上がる時があるようです!)
そしてこれだけ前転すると結構閉瞼仕切らないことがあります。
臥位ということと眼輪筋が麻痺しているということから、眼瞼を押し下げて閉瞼できれば大丈夫です。
仕上がりが楽しみです!
本日は以上です!!最近眼形成の内容よりもご飯の内容が濃くなってきて複雑な気持ちです!
今日もありがとうございました!!
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2021.06.17
睫毛内反・眼瞼内反・睫毛乱生について
今日もよろしくお願いします。
僕は亀田総合病院のある千葉県鴨川市というところに住んでいます。
住んで4年目になりますがいいところです。
有名なのは鴨川シーワールドのシャチのショーでしょうか。
安房鴨川駅から徒歩10分程度の場所に僕が好きなお寿司屋さんである「笹元」さんがあります。
このお寿司屋さんが好きなんですよ。店長夫婦で板前さんをされております。
私レベルの人間が美味しいというものなんてたかが知れていると思いますが、美味しいんですよ。
地元で獲れた新鮮な魚介類をとにかく日本酒に合うような極上の肴にしてくれるんです。
そういう点では必ずしも寿司屋というよりは海鮮居酒屋に近いかもしれません。
今もブログ書きながら喉を鳴らしております。
千葉県の外房という地方は金目鯛がよく獲れます。5,6月が旬です。
なぜ旬なのかというと産卵に向け沢山の餌を食べることで身に脂が乗るからです。
定期的にヨダレを垂らして入店するのですが、先日伺った時に初めて出たのがその産卵期の金目鯛の卵です。
正に珍味というやつです。なかなか食べたことある人は少ないのではないでしょうか?
ただ写真を撮り忘れました…。ごめんなさい。
見た目はThe 魚卵!って感じです。
品を出す時に板前の旦那様が「ハッピバースデーつーふー!」と言って出してくれたのがいい思い出です。
もう日本酒と抜群の相性です。アロプリノールまっしぐらです。
田舎でしか食べられないものを食べられると多幸感に包まれますね。
みなさんも機会があれば是非ご賞味ください。
さて本日はさかさまつげ系の話です。手術手技というよりは病態についてです。
最近亀田総合病院でも細々と眼形成手術を始めたのですが、後輩の医師からちょこちょこ「先生。睫毛内反のおじいちゃんが来てますが診てくれませんか?」と聞かれます。その時点でピンと来ます。実際見てみると大体眼瞼内反か睫毛乱生です。
他にも「睫毛内反の手術ってJones変法ですよね?」って聞かれますが、Jones変法は眼瞼内反に対する術式です。先天性睫毛内反の若年者には選択しない術式です。
同じ逆さまつげでも病態でよって術式が全く異なります。
自分もよくわかっていなかったですが、改めてまとめたいと思います。
睫毛内反は睫毛を外反させる穿通枝の欠損によって生じます。また余剰な皮膚や眼輪筋が睫毛を眼球方向へ圧排することも病態に拍車をかけていることが多いです。治療法はHotz変法、Lid margin splitting、埋没法などがあります。当院ではHotz変法+Lid margin splittingの併用を行なっております。
下眼瞼内反は垂直方向の弛緩(LERの弛緩)、水平方向の弛緩(LCTとMCTの弛緩)、前葉組織の弛緩(皮膚、眼輪筋の弛緩)、眼球位置の変化が病態です。治療法は多岐にわたりますが、有名なのはJones変法で他にLER plicationや眼輪筋短縮術やLateral tarsal strip、埋没法などがあります。当院では病態によって分けていますが、LER plicationを主に行なっております。
睫毛乱生は眼瞼の炎症や外傷(トラコーマ、熱傷、 Stevens-Johnson症候群、PG点眼など)が原因となり睫毛根部に瘢痕を形成し、睫毛の生える方向が変化することが原因と言われています。その中でも睫毛列全体が眼球に向かって生えている場合は睫毛重生となります。治療法は毛根除去、anterior lamellar resection(≒Wojno法)、電気分解法などがあります。当院では毛根除去やWojno法を行なっております。
どんなに手術が上手でも病態を考えずに誤った手術選択をすると治りません。
正しい病態理解に努めます!一緒に学んでいけたら幸いです。
今日もありがとうございました!!
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2021.06.08
眉毛下皮膚切除について追加で学んだこと
さて眉毛下皮膚切除について追加で学んだことをご報告します。
眉毛皮膚切除は奥が深いです。顔の印象を大きく変えずに効果が得られるので選択しやすい術式です。
内容も皮膚切除してただ縫い寄せるだけというシンプルな術式ですが、それだけに術者の腕が如実に出ると思います。
そうです。
シンプルを極めればピュアになる。
またもや言いたかっただけですね。すいません。
基本的な創の切開の仕方や縫い方は以前Eyebrow liftingの時にまとめた通りですが、追加のポイントを3つ説明します。
1つ目のポイントは皮膚を切り取る時に皮下脂肪もしっかり切除しておくことです。
創部内に脂肪がたまっていると余計な組織があるためevertしづらくinvertになりやすくなります。
余分な脂肪はしっかり切除するように心がけましょう。
2つ目のポイントはROOF切除併用も選択肢に入れておくことです。
上眼瞼の外側がpuffyな方はRoof切除を併用すると欧米人のようなより美しい瞼になります。
切除の流れを分かる範囲で説明すると、
①眼輪筋の線維に沿って横切開を入れて、Roofを露出させます。
②眼輪筋に切り込みすぎないように(accessory foldの原因)Roofの前面を露出
③その後眼窩隔膜に切り込まないようにこそぐように切除します。(ジョキジョキ切ると術後凹みが出てしまいます。)
④切除時はRoof部位の麻酔追加を忘れずに。
⑤創縁のlayerを合わせるため、非吸収糸で眼輪筋を寄せておく。
その後は型通りです。
3つ目のポイントは連続縫合時は創縁をしっかりつまみevertさせて、皮膚に直角になるように通糸することです。
真皮縫合時点でしっかり寄せることが大前提ですが、連続縫合時もテキトーにやったら瘢痕が残ります。
一気に通糸するのではなく、創縁に通糸する度にしっかり有鉤鑷子でつまみ連続縫合しましょう。
とにかくevertです。
自分もまだまだまだまだです。でも今日が人生で一番若い日ですので諦めず進みます。
今日もありがとうございました!!
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2021.06.02
眼窩骨折手術について
今日もよろしくお願いします。
先日月島もんじゃを食べさせていただきました。小さい頃からお好み焼きは好きでしたが、あれは本当に素晴らしい食べ物です。
食べる前のもんじゃのイメージって「ほぼ液状のゲチャゲチャしたよくわからないもの」でした。
本当にすいません。あれすごーーーく美味しいです。しかも作る過程がエンターテインメントです。
具材の上にお出汁の効いた生地がヒタヒタに入っており、まずは具材だけを鉄板の上に出してしっかり炒めます。
そのあとにドーナツ状の土手を作成し、その中にお出汁を入れます。
この時に土手が崩れてお出汁が流れ広がると「あー!!下手くそ!!」となります。あのワクワクがいいですね。
そしてそのお出汁と具材を混ぜて炒めます。
それをうすーく伸ばしておこげを作って小さいヘラで剥がしてこそぎ取ってハフハフと頂くという流れです。
何より香りが最高なのとお出汁の味がしっかりついた「おこげ」が絶品でございます。
できたら一人ではなくグループで鉄板を共有しワイワイ食べるとよいです。美味しさが倍増です!
一度ご賞味ください。
さて今回は眼窩骨折手術についてです。
眼窩下壁骨折手術を執刀させて頂きました。偉そうに執刀と言っても触り程度ですが…。
眼瞼に引き続いてorbitaにも執刀の機会が出てきて嬉しい限りです。関わった方々には感謝感謝です。
骨折についてはまったく教科書がないです。色々な発表資料や解剖、オペ動画をたくさん見て、執刀し怒られながらやらないと覚えられないなと痛感しました。現時点でポイントだなと思ったことを列挙します。
まずアプローチについてですが、当院では経結膜アプローチで行なっております。
Lynch切開、Subciliary切開、外眥切開などの皮膚切開アプローチもあります。色々な考えがあっていいと思いますが、多かれ少なかれ瘢痕が残り、かつ縫合に時間が取られるため当院では行っておりません。
眼窩内にしっかり麻酔をした上で下眼瞼結膜とLERを切離し、牽引糸をかけます。
その後助手に筋鉤で下眼瞼を牽引してもらい、眼窩の下方rimを露出しています。
この時に第1関門です。orbita内に入らないこと、眼輪筋に切り込まないことです。
下眼瞼を牽引されている状態だと頭の中の解剖3D構造があまり役に立たなくなるのでひどい場合は容易に皮膚に穿破します。
めちゃくちゃ恥です。常に常に眼輪筋を切り込まないように注意です。
眼窩下縁を出すまでは不用意にスプリング剪刀で切り込まず、愛護的に下縁に到達します。
その後形成剪刀にて眼窩隔膜と結合組織をrimの少し下方で切開をいれて骨膜を露出させます。
骨膜が露出できたらrimに15番メスで切開を入れて骨膜剥離子で下壁の骨膜下に入っていきます。
骨に対して骨膜剥離子が直角になるように用い剥離を進めます。
内側、外側からもアプローチします。特に内側には涙囊や下斜筋付着部がありますが、しっかり骨膜下で剥離できていれば怖がらずに剥離を進められます。止血の役割+眼窩脂肪を寄せておく役割を期待して、ボスミンベンシーツを用います。
そして骨折部位の全域を明らかにします。
そして上顎洞落ち込んだ組織を引き戻します。見てわかると思いますがめちゃくちゃ視野が悪いので顕微鏡を色々な角度に動かして行います。
最後にスーパーフィクソーブを眼窩形状に合わせて切り抜き、骨折部位に挿入します。
入れただけだと脂肪が嵌頓していることがあるためFoced duction(直筋を把持してグイングイン眼球を回すこと)にて眼窩脂肪を自然な位置に戻しておきます。その後ケナコルトを眼窩内に撒きます。
結膜は無縫合で終了です。
手術の工程は以上です。何やらさも自分が完刀したかのように話していますが、鹿嶋先生の横でふむふむと聞いていたことをまとめただけです。すいません。機会をいただける限り早い内に完刀を目指します!
今日もありがとうございました!!
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