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WSOPRAS in DubaiとAsia ITEDS in Singaporeを終えて

今日もお願いします。

5月は僕にとっては記念すべき月になりました。

海外学会で初めてオーラルでの発表ができました。小さな一歩ですが僕にとっては大きな一歩です。

 

「論文もちゃんと書けてないのに海外発表だけしても意味がない!」という意見もあると思います。

僕もそのとおりだと思います。エビデンスレベルでいくと海外発表と論文掲載には雲泥の差があります。

自分はまだまだ統計解析やデータ解釈、英語についての知識が全く足りてない常々思います。

そのことが不安で海外学会に足を踏み入れていいのだろうか…??

という不安も正直ありました。

 

結果から言うと僕の人生の中で最高の経験の1つになりました。

本当に嬉しいです。2月にマレーシア、5月にドバイでのポスター掲示が採択されましたが、ポスターだと忙しい先生方はなかなか見てくれません。オーラルは初めての経験でしたが、会場内のたくさんの先生が見てくれます。一部の先生は発表後に質問にまで来てくれます。普段自分でやっていることが世界的に認められるのはモチベーションも上がりますし、さらに成長しなければならないと強く自覚します。

 

思い出がたくさんできました。鹿嶋先生、患者様、助けてくれた先生方やスタッフの方々ありがとうございました。

 

 

 

 

さて本日のお題は甲状腺眼症に対する脂肪減圧 vs 骨減圧についてです。

 

この点についてはシンガポール学会でも論点になっていました。

骨減圧代表の中国のHonglei Liu先生と脂肪減圧代表の鹿嶋先生とで議論していたことが非常に記憶に残っています。

 

Liu先生は眼窩外壁をDuraが見えるギリギリまでMaximumに切除する骨減圧の極地とも言えるような発表をしていました。

対して鹿嶋先生は甲状腺眼症ってそもそも脂肪と筋肉の病気だから骨を削るよりも脂肪切除した方がいいんじゃない?(筋肉は切除できないので。。。)という意見でした。

 

こういう話っていうはなかなか結論が出ないです。

僕は自分が患者だったら、、、侵襲や合併症を鑑みて脂肪減圧を選ぶと思います。

しかしそれは僕の感想なのでどういう使い分けをしているのか、論文を元に見てみましょう。

 

韓国のJin Sook Yoon先生の研究室の論文です。

ちなみに上の集合写真の左下の先生です。見た目はすごく若いですが、教授で研究室も持っているとのことです。

Faculty dinnerではビールにチャミスルを混ぜて飲んでいたのがとても印象的でした。

 

 

甲状腺眼症の病態に応じて術式を分けましょうという趣旨の報告です。

まずは甲状腺眼症は大きく分けて2つのタイプがあります。

 

type I  →predominantly fat compartment enlargement

type II →predominantly extraocular muscle enlargement

 

これらの2つのタイプに分かれ、オーバーラップしている場合も多々あり非常に病態が複雑です。

これらのタイプに応じて

type Ⅰの場合は脂肪減圧メイン(不十分な場合は骨減圧併用)

type Ⅱの場合は骨減圧メイン

 

という風に段階的に減圧術を行いましょうというものです。

2002年にUCSDのKikkawa先生が似たような趣旨の論文を出しています。

 

ちなみに患者内訳は以下のとおりです。

Fat-only decompression (group 1)

fat and one-wall decompression (group 2)

fat and two-wall decompression (group 3)

two-wall decompression with minimal fat (<1 mL) (group 4)

 

Myopathy score

3 = primary diplopia or no orthotropia at the primary position

2 = orthotropia at the primary position, but with diplopia within 30° in BSV or more than 10° limitation in HESS

1 = diplopia only outside 30° in BSV

0 = no diplopia at any gaze

 

そして術後結果です。

どのGroupも減圧効果としては非常に良好かと思います!

しかし骨減圧をすればするほど複視のリスクがどんどん上がることは無視できません…。。。

 

術後に複視が悪化した患者は8人(14.5%)で、8人のうち6人がgroup 3、1人がgroup 1、1人がgroup 2でした。

group 4は一見scoreの悪化がないように見えますが、そもそも術前から正面視での複視があり術後もそのままだったよ、という結果です。

 

またLiao先生やHuang先生による報告と同様に、切除した眼窩脂肪量に対する平均Hertel変化量の比は、約1であったと報告しています。つまり眼窩脂肪を1cc切除すると約1ml目が引っ込むよ、というのは共通理解になりつつあるのかな?と解釈しました。

 

 

 

脂肪減圧術は骨の除去を伴わないため、眼窩下神経知覚低下、脳脊髄液漏出、複視などの副作用の可能性は少なくとも理論的には最小限に抑えられます。しかし、国際的にはまだまだちょっと難しくて危険な手術じゃない??という印象だと思います。

今後も減圧術に関するデータを出して少しでも世界に脂肪減圧術の良さを伝えていければなと思っています。

今日もありがとうございました!

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著者情報

菊地 良

Ryo Kikuchi

経 歴

2016年 弘前大学医学部 卒業
2016年 青森県むつ総合病院初期研修医
2018年 亀田総合病院 眼科 常勤
2020年 オキュロフェイシャルクリニック東京
2020年 新前橋かしま眼科形成外科クリニック
2024年 まぶたとなみだのクリニック 院長
診療時間
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