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甲状腺性視神経症について

今日もよろしくおねがいします。

忙しさにかまけてだいぶ投稿が久しぶりになりました。

亀田病院に長く通って頂いてる患者様からも「先生お忙しいせいか、ブログが3ヶ月更新されてませんね。」とご指摘を受けました。がんばります。

 

まずは近況の報告からです。

5年間お世話になった亀田総合病院眼科は今年度から非常勤体制となります。

月曜日午前 手術         午後 眼形成眼窩外科外来

火曜日午前 手術(主に後進育成) 午後 一般外来

水曜日 オキュロ東京院 前橋院 隔週で交互

木曜日 前橋院

金曜日 千葉院

土曜日 東京院

日曜日 千葉県旭市サンモール眼科クリニック 隔週

 

で診療、手術を行っております。

 

週に大体20人程度の患者様を手術させていただいております。

総執刀件数も2000件以上になってきましたがまだまだ学ぶことが多いと感じる日々です。

上達するほど上には上がいることを実感します。まだまだ眼形成学の山のてっぺんが見えません。

気が抜ける時もありますが緊張感をもって学び続けたいと思います。

 

 

 

さて本日は内下壁の骨減圧についてです。

当院では甲状腺眼症による眼球突出の治療としてほとんどの場合脂肪減圧が行われています。

しかし、甲状腺性視神経症 Dysthyroid optic neuropathy(以下DON)の場合は話が変わります。

 

DONは甲状腺眼症による合併症の中で最も恐ろしいもののひとつです。

発生率は甲状腺眼症患者全体の2〜9%(重症患者の最大50%)と言われています。

DONによる視力低下は、早急な対応が必要になります。

 

下記はEUGOGO2021に掲載されている重症度分類です。

 

病態としては炎症性や虚血性など様々なメカニズムが報告されています。現在最も広く受け入れられている説は、腫れた外眼筋と眼窩脂肪による視神経の直接的な機械的圧迫で、軸索の流れの減速と結果として生じる虚血が原因と言われています。

 

ちなみに腫れやすい筋肉は下直筋>内直筋>上直筋>外直筋 と下から内回りですので覚えておきましょう。

外眼筋の中で一番DONを起こしやすい筋肉は上直筋と言われています。

外眼筋腫脹を起こす病気はたくさんありますが甲状腺眼症の場合、外眼筋腱部ではなく筋腹部がメインで腫れます。

上直筋は筋腹部がより眼窩先端部に近いところにあるため視神経を圧迫しやすいようです。

 

 

CTの例は下記のとおりです。

Liu, Volpe, and Galetta’s Neuro-Ophthalmology, Third Edition より引用

 

 

DONに遭遇した場合どのような対処が必要なのでしょうか?

上図がDONの治療アルゴリズムです。基本的にはパルス療法から選択します。

最初から骨減圧をやらないの??とも思いますが、

小規模なRCTでは、第一選択治療として投与されたグルココルチコイドの静脈内投与と比較して、即時減圧の方がむしろ視力予後が悪いと報告されています。

DON患者24名(40眼)のレトロスペクティブ研究では、40%以上の患者がメチルプレドニゾロン大量静注療法後に視機能の永久的な回復が得られた報告されています。

よって当院ではまずはパルス療法+ステロイド局所投与を緊急で行い、それでも視力回復が得られない方に骨減圧を追加で行う方針としています。

 

 

甲状腺眼症は専門にしている医師が少なく、形成外科と眼科の狭間の疾患のためちゃんとした眼形成眼窩外科医が診るべきだと思います。一般眼科医だとしても、視神経症や斜視、角膜障害を伴う甲状腺眼症は必ず見落としてはいけないので覚えておきましょう。

骨減圧について書こうと思ったのですが、だいぶ内容が多くなってしまったので次回にしたいと思います。

 

今日もありがとうございました。今後ともよろしくおねがいします。

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著者情報

菊地 良

Ryo Kikuchi

経 歴

2016年 弘前大学医学部 卒業
2016年 青森県むつ総合病院初期研修医
2018年 亀田総合病院 眼科 常勤
2020年 オキュロフェイシャルクリニック東京
2020年 新前橋かしま眼科形成外科クリニック
2024年 まぶたとなみだのクリニック 院長
診療時間
8:15〜17:15 - -

[休診日]月曜・日曜・祝日
※当院の診療は完全予約制になります。

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